第0 事実認定起案の特徴
1 設問の種類はワンパターン
(1)問題文の一例
毎回,必ず同じ出題形式。
一例を示せば,こんな感じ。
code:問題の例
「第2 民事修習記録第○○○号に基づいて,次の事項を起案せよ。
1 原告が,昭和○○年○月○日,Aから本件土地を代金○○○○円で買った事実を認定することができるか。
「認められる。」「認められない。」の結論を記載せよ。
2 上記1について,判断の枠組みを説明せよ。
3 上記1について,認定できる間接事実を,積極方向のものと消極方向のものに分けて,それぞれ列挙せよ。
なお,各間接事実ごとに,その認定根拠と,その間接事実が上記1の事実との関係で有する意味を付記すること。
4 上記2及び3を前提として,上記1の結論に至る判断過程を説明せよ。」
(2)4つの設問
要するに,設問の種類は,
の4つ。
2 どこに何を書くのかが重要であること
(1)どこに何を書くのか,の重要性
民裁事実認定起案では,自分が考えたことを,どの設問において記載するのかが,きわめて重要である。 民裁起案では,どこに何を書くかのルールが細かく決められているため,別のところで書いても,点にならない。
(2)どこに何を書くのか,のわかりにくさ
しかし,どこに何を書くのかは,はじめは,わかりにくい。
わかりにくい理由はいくつかあるが,その中で大きなものは,私見では,次の二つである。
まず,理屈で考えれば,別の箇所に書いても全然問題がないことである。民裁事実認定の思考過程を示すために,どの設問で何を書くかのパターンは,何パターンもあり得て,そのどれもが,理屈で言えば,間違いではない。だから,自分で考えるだけでは,どこに何を書くかが,わからない。
次に,他の科目(特に,刑裁・検察)と,記載箇所が異なることである。例えば,刑裁や検察の感覚で間接事実を挙げると,記載箇所を根本的に誤ることになる。 (3)対策の必要性
したがって,どこに何を書くのかを,あらかじめ,きちんと把握しておくことが,必須となる。
どこに何を書くのかは,意識的に身につけようとすれば,全然難しいことではないので,コストパフォーマンスは高いはずである。
3 事実認定起案の対策
(1)ごく基本の事実認定の考え方
実質的な思考の基本を身につける。
総論としての思考のコツと,各論としての各類型における着目要素の勉強の二本柱になると思われる。
各類型における着目要素は,これを身につけている方が,記録を読むのも省エネになる。
(2)どこに何を書くのかの習得
超重要。
各設問の要求事項を理解して,何をどの設問で書くのかを,完璧にしておく。
本稿の主な対象は,この点である。
(3)各設問の書き方(言い回し,長さ,項目の付け方など)
各設問でどのように記載するのか,の形式面に慣れておく。
定型に従ってかくほうが,書くのも楽だし,点数も来やすい。